人工関節治療

artificial joint treatment

人工関節治療

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は膝の関節の表面にある軟骨がすり減る疾患です。
レントゲンでは大腿骨と脛骨(すねの骨)間の隙間が狭くなり、骨棘形成や軟骨の下の骨が硬くなる硬化像を認めます。

レントゲン写真

初期の症状は椅子からの立ち上がり、動き始め、階段を降りるときに痛みを伴います。

変形が進行すると歩行時に常に痛みを伴い、階段も交互に降りたり昇ったりができなくなります。膝にかかる体重は歩行時には体重の5倍、階段を降りる時には8倍かかると言われております。また膝が横にずれる不安定感も出てきて立ち上がるのが怖くなります。さらに膝の伸びと曲がりが悪くなってきて、正座やしゃがみ込みができなくなります。

筋力を鍛えたり、膝の関節内注射、内服薬にて痛みを軽減することはできますが、変形が進行すると注射や内服薬も効かなくなってきて、生活に支障が出たり、旅行に行けなくなったり、好きなスポーツができなくなってきた場合に手術をするかどうか相談になります。

手術方法

変形性膝関節症に対する手術の方法は大きく分けて以下の2種類あります。

⒈ 人工膝関節置換術

擦り減った軟骨の部分を金属に置き換えて痛みを取り、O脚やX脚を矯正してアライメントを元に戻します。

⒉ 骨切り術

軟骨が減ったことによるO脚やX脚を脛骨(または大腿骨もしくは脛骨と大腿骨両方)を切って矯正して膝の痛みを取る手術です。

当院では骨切り術は行なっていないため、東京科学大学に適応のある方や希望のある方は紹介しています。
また患者様が希望される病院があればそちらに紹介することも可能です。

院長による手術

人工膝関節置換術を希望される場合には院長自らが草加市立病院で手術を行なっております。

人工膝関節は大きく2種類の方法があります。

全置換術(TKA)

膝の軟骨の擦り減りが内側だけに限局しておらず、外側やお皿の裏も減っている場合に適応になります(変形が進行しており膝全体的に痛んでいる場合)。
膝の表面を金属の形に合わせて削り、金属で置き換えてアライメントを元の膝に戻します。翌日から膝の曲げ伸ばしの訓練を開始して2週から4週で退院を目指します。
手術後の膝の曲がる角度は手術前の膝の曲がる角度に相関しますが、手術中に手術後に曲がる膝になるように余分な骨を削ったり、軟部組織を剥離したりして微調整してきます。全置換でも正座ができている方もいます。

半置換術(UKA)

膝の軟骨の擦り減った部分が内側だけもしくは外側だけの患者様に適応になります。またストレスレントゲンを撮影してアライメントが正常の角度に戻ることや膝の伸びの悪さが15度以内の方が適応になります。

立位レントゲン
ストレスレントゲン

痛んでいる部分のみを削って金属に置き換えてきます。半置換術の場合には正常なところには手を加えず、痛んでいる部分のみを金属で置き換えてくるという特徴があります。
全置換術の場合には膝の中にある前十字靱帯(機種によっては後十字靭帯も)を切ることになりますが、半置換術の場合には膝の4つある靱帯を全て残せます。
靱帯を残すことによって膝が正常に近い動きをし、また安定感があります。
正座ができる方も全置換よりも多くいらっしゃいます。

半置換術(UKA)と全置換術(TAK)の違い

半置換術(UKA) 全置換術(TKA)
皮切(皮膚を切開する長さ) 10cm 15cm
手術時間 1時間から1時間半 1時間半から2時間
出血量 30ml 50〜100ml
感染率 0.5〜1% 1〜2%
術後の腫れ 全置換より少ない 半置換より多い
術後疼痛 全置換より少ない 半置換より多い
入院期間 1〜3週間 2〜4週間
膝の曲がる角度 よく曲がる 半置換よりは劣る
正座できる方 多い 少ない
膝の靱帯 4本全て残せる 1本もしくは2本切除
膝の安定性 高い 半置換よりは劣る
術後満足度 高い 半置換よりは劣る
20年以上の長期成績 90%以上 90%以上
術後スポーツ 一部制限あるが可能 一部制限あるが可能

半置換術は傷が小さく、出血量も少なく、骨を削る量も少ないため全置換と比較すると侵襲少なく手術ができます。
そのため術後の腫れも少ないため術後疼痛が少なく、術後から膝を曲げる練習や歩行練習を行い易いです。
また膝にある4本の靱帯を全て残しますので膝が安定し、階段昇降や軽いスポーツを違和感なく出来ます。
こういった理由から当院ではまず半置換ができるかどうか判断し、可能であれば半置換を勧めています。半置換の適応のない方は全置換を勧めております。

半置換術はよく曲がる

保存的加療を行っても膝の痛みが改善せず、生活に支障の出ている方、スポーツをしたくても出来ない方は一度ご来院されてご相談ください。